2024.2.7

自分を大切にするシンプルな暮らしと石鹸づくり 東栄町Simple+(シンプルプラス)

Simple+のラボと福田美幸さん

東京都から自然豊かな東栄町に移住し、田舎暮らしをしながら石鹸づくりを営む福田美幸さん。人生の選択の中で、自身の心と向き合いながら見つけた本当の自分の美しさとは。移住のきっかけや、山里の小さな石鹸ラボ「Simple+(シンプルプラス)」の立ち上げ、東栄町で過ごすかけがえのない時間についてお話を伺いました。

目まぐるしい時間の中にいた20代

始まりは20代。福田さんは東京で事務の仕事をしていました。目まぐるしい都会時間の中で忙しく暮らすうちに「20代は人生で一番活気があふれる時なのに、なぜ自分は囚われたように過ごしているのだろう」と考えるようになったそうです。この悩みから抜け出すために、オーストラリアのワーキングホリデーに参加したところ、海の向こうには自分が今まで培ってきた価値観とは違う、時間に縛られない暮らしや働き方があったそうです。

帰国後、東日本大震災を経て

帰国した福田さんは持ち前の英語力を活かし、外資系の会社で働きました。しかし2011年、東日本大震災が起こります。東京も大混乱に陥り、日常が一変したそうです。当たり前のものが突然失われてしまうかもしれないという事実に直面し、福田さんは再び自分の心と向き合います。
「電気やガスがなくなったとき、自分の力で生活ができるだろうか?」
「親孝行ができているだろうか?」
「私が求めているものは何なのだろう。何がしたいのだろう?」
・・・そしてふと、両親は自分が行うことに対して咎めたり、反対をしたりしないということに気づきます。仕事を辞める時やワーキングホリデーへ出かけるときも、いつもやさしく見守ってくれた両親にできる親孝行とは「自分が幸せであること」ではないかと考えました。
そのために自分の好きなことをめいっぱい頑張ってみたい、自然豊かな田舎で自分の力で暮らしてみたいと心に決めた福田さんは東京を飛び出します。

ご縁を辿り、東栄町へ

長野県で知り合いの手伝いをしながら、田舎での暮らし方を模索していた福田さん。ある時、ふるさと回帰支援センターを訪れたところ「やりたいことがあって、移住をするのであれば地域おこし協力隊がいいよ」という助言をもらい、全国の募集を見てみることに。そこで見つけたのが、東栄町の天然素材にこだわった手作りコスメティック体験ブランド「naori®」の地域おこし協力隊募集でした。「豊かな自然を活かしたビューティーツーリズム®を推進する東栄町であれば、自分のやりたいことができるかもしれない」と思った福田さんは協力隊に応募し、2017年に東栄町への移住を決断します。

「やりたいこと」と地域のマッチング

福田家では当たり前だった「固形石鹸のある暮らし」

福田さんは小さな頃から、固形石鹸がある暮らしを送ってきました。10代や20代の頃はリキッドソープやシャンプーなどを使ってみたこともありましたが、その結果、あらためて固形石鹸が自分に合うと感じたそうです。そうしているうちに、いつのまにか石鹸そのものが好きになり、全国や世界中の国を旅行しながら、その土地の石鹸を手に入れて使うことを楽しむようになりました。「いつか自分の手で石鹸を作りたい。石鹸で起業をしてみたい」とひそかな夢を抱いていたときに出会った東栄町の地域おこし協力隊は、福田さんにとって運命の出会いでした。

東栄町の暮らしと石鹸作り

東栄町本郷地区のお食事処「東鮨」の大将と福田さん

東栄町へ移住した福田さんが、初めての住まいに選んだのは本郷という地域でした。町役場がある本郷は東栄町の中でも人が多く賑わいがあり、都会から田舎へ移り住んだ際のギャップをあまり感じなかったといいます。町のお食事処「東鮨」で出会った大将や女将さん、地元の方々と仲良くなり、時には助力をいただきながら、少しずつ山里の暮らしに馴染んでいきました。仕事ではnaori®の手作りコスメティック講師として美をテーマに活動をしながら石鹸の研究を重ね、2020年に自らのブランド「Simple+(シンプルプラス)」を立ち上げます。

東栄町の素材を使用したオンリーワンの石鹸たち

ニホンミツバチのハチミツを配合したナチュラルハニー石鹸

福田さんの作る石鹸はシンプルな形で泡立ちが良いこと、東栄町で採れた素材が配合されていることが特徴です。ニホンミツバチのハチミツや、米ぬか、ハーブが配合された雑貨石鹸は、福田さんが思いを込めて一つ一つ手作りし、パッキングを行っています。「手に取ってくださった方に可愛がってもらって、幸せにしてくるんだよ」と、でき上がった石鹸を見つめる瞳は赤ちゃんを見守るお母さんのようです。

他にも、洗顔や浴用の化粧石鹸の開発も行っています。
300年の歴史をもつ東栄町の酒蔵「森山酒造」の純米酒「蜂龍盃」を使用した石鹸は、福田さんが東栄町に来て初めて手掛けたもので、地域の方とのつながりによって生まれた商品です。「私もこのお酒のように良いものを長く作っていきたい」という想いと、日本酒の美容効果から開発を持ち掛け商品化しましたが、11代目が他界され、森山酒造が神奈川県へ移転したことにより製造終了となりました。しかし、この石鹸は福田さんにとっても思い入れのあるものとなったそうです。

現在特許出願中の「SERICITE WHITE SOAP PREMIUM」

Simple+の新たな化粧石鹸の原料として福田さんが選んだのは、naori®で使用している東栄町産のセリサイトでした。セリサイトはファンデーションやボディーパウダーの原料となる鉱物で、現在、国内で化粧品用のセリサイトを採掘している鉱山は東栄町のみと言われています。東栄町産のセリサイトはその純度の高さから世界的にも希少価値が高く、国内外の名だたるコスメティックブランドで使用されています。このセリサイトパウダーを贅沢に配合した石鹸「SERICITE WHITE SOAP PREMIUM」は絹のように滑らかで雲のように軽い泡だちが魅力。いまだかつてない感動の使い心地と評判です。

最後に・・・

自分の石鹸を見つめる福田さん

Simple+の立ち上げと同時に町内の月地区へ移転し、2021年に店舗兼ラボをグランドオープンされた福田さんは今、かつて夢見た自然豊かな田舎で、石鹸とともにある暮らしを送っています。「必要以上のものを手放してシンプルな自分を大切にすることで、幸せや美しさの本質に気づくことができました。私は今、ここへ来て良かったと心から思います。」窓の外に広がる自然を眺めながら語る福田さんは、幸せに満ちた美しい笑顔を浮かべていました。
Simple+のラボでは、福田さんが手掛けた石鹸を購入できるほか、石鹸やコスメティックのワークショップを行っています。
石鹸を通して、本当の自分の美しさを見つけるお手伝いをしてくれる福田さんに会いに、東栄町Simple+へ出かけてみませんか?

Simple+公式WEBサイト

キラッと奥三河観光ナビ「Simple+」紹介ページ

東栄町のじかん コラム「【体験レポート】Simple+で石鹸作りを体験!」

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