みなさんは「ペルセウス座流星群」という名前を聞いたことがありますよね。
2001年に世紀の大出現をした「しし座流星群」の印象が強く残っている人も多いかと思います。

この○○座流星群とは何でしょう。

　流星は、流星のもとであるチリが地球が衝突し、大気中に飛び込んできて発光する現象です。
ちりと地球の軌道の位置関係から、毎年特定の短期間に星空のあるエリアから放射状に流れるように見えるのが流星群です。

このとき、流星の経路を延長して交わった点を「放射点（輻射点）」といい、放射点のある星座名をとって○○座流星群と呼んでいます。
群の流星（「群流星」）は放射点から四方八方に流れますので、放射点の場所を頭に入れておけば○○座流星群の群流星であることがわかります。

また、○○座流星群と言っても〇〇座だけに出現する訳ではないので、なるべく広い範囲を眺めることも大切です。

ちりの分布や地球との位置関係などから、出現数や出現期間、明るさや色、速さ、経路に沿って残る「痕」の頻度など、流星群によって様々な特徴があります。なお、時期も場所もランダムに流れる流星は「散在流星」と呼んでいます。

　４月の中下旬頃には「こと座流星群」が見られます。こと座とヘルクレス座の中間あたりが放射点です。

今年は出現のピークが２２日１５時（日本時）と予想されていますので、日本ではピークの観測はできませんが、２２日と２３日、放射点が昇ってきた午後１０時頃から数時間挑戦してみてはどうでしょう。

１時間に７個くらい（出典：天文年鑑2020年版）見られるかもしれません。

ただし、週の真ん中ですので、仕事や学校に支障がない範囲で楽しみましょう。

　ところで、流星観測には暗い夜空ほど好条件になります。
したがって、流星群の出現期間と明るい月の関係はとても重要です。

天文年鑑には月齢と月の出ている時間帯をもとに「最良、良、悪、最悪」と観測条件が記載されています。
今年のこと座流星群は新月のため「最良」。
月明かりの全くない暗い星空で観測できます。

　こと座流星群は1982年に突発出現の記録もありますが、定常活動はペルセウス座やふたご座流星群のような活発な群ではありません。出現数を数える「計数観測」とともに、星図に流星出現経路を記録する「記録観測」に挑戦しても面白いですね。

　奥三河の夜空の特徴は、何と言っても街明かりが少なくて空の条件がいいこと。

暗い流星まで見られますから、夜空の明るい場所に比べてたくさん見ることができます。
できれば地平線方向まで見渡せる広い視野の場所で、シートに寝転がって天頂をリラックスして眺めましょう。

車が走ることのできる場所や崖のそばなどは危険ですので避けてください。
野生動物にも注意が必要です。
安全には十分な配慮をしてください。
また、昼間の暖かさからは信じられないほど夜はまだ冷え込みます。
健康管理も大切です。
深夜ですから、近隣の方の迷惑にならないようマナーを守って、楽しい観測をしてください。

高価な機材の必要がない流星観測は、天文に親しむのにはもってこいです。

一方で流星には未解明の部分も多く、多くのアマチュア観測者が流星研究を前進させています。
日本流星研究会のホームページをぜひ覗いてみてください。

最新情報や観測指針が掲載され、観測用マニュアルや星図などをダウンロードすることもできます。

ぜひ流星の「観測と研究」にステップアップしてください。

コラムBY
奥三河☆星空の魅力を伝える会　夏目裕司（日本流星研究会）



※流星出現数には「ＺＨＲ」という表記があります。
観測データをもとに、全天に雲のない十分に暗い空で、輻射点がもっとも高くなったとき、１時間あたりに見られる数として補正計算をしたものですから、最も条件がいいときの理想数です
。
数字を鵜呑みにして期待しすぎないように注意してください。

※画像はこと座流星群ではありません。


《2020年星空観察会についてのお知らせ》
奥三河☆星空の魅力を伝える会では、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、参加者および関係者の健康・安全面を第一に考慮した結果、多数の参加者が集う観察会や講座の開催について中止及び延期をする場合がございます。
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