1. HOME >
  2. コラム一覧 >
  3. 南極老人星カノープスを探してみよう!

奥三河星空コラム

南極老人星カノープスを探してみよう!

冬の星空散歩~カノープスを見よう!~

 冬の夜空を眺めると明るく輝く星々がたくさんあることに気づきます。
冬の代表的な星座であるオリオン座のベテルギウス、リゲルをはじめ、冬の星座には一般的に7つの一等星(注1)があることが知られています。
しかしながらカノープスはこの7つの一等星に含まれていません。
今回このコラムでは冬の夜空に輝く8つ目の一等星にスポットを当ててみたいと思います。
カノープスはりゅうこつ座に含まれる-0.7等級の白い恒星で、夜空に見える恒星(注2)としてはシリウスの-1.5等級に次いで全天で2番目の明るさを誇ります。
しかし、南の空低く大気の影響で暗く赤っぽく短時間しか現れず、めったに見られないことなどから一般的にあまりその存在を知られていません。

古代中国(注3)では、カノープスは南の地平線すれすれに現れる奇妙な赤い星として知られていました。
縁起の良い赤い色であることやごく稀にしか見られないことなどから「南極老人星」や「寿星」と呼ばれていました。
南極老人とは、日本の七福神の福禄寿の元になった神様で、長寿をつかさどるとされてきました。
そのためこの星を見ることはたいへん縁起が良いとされ、一目見ると寿命が延びるという話が有名です。
日本では、千葉県の房総半島南端にある漁村「布良(めら)」でよく見られたことから「布良星(めらぼし)」と呼ばれ、「布良星が見えると海が荒れる」という言い伝えもあります。

 さて、カノープスの探し方ですが、とにかく真南が地平線付近まで開けている所で、できるだけ高い所、街明かりが少ない所で探しましょう。
カノープスは南の低空にしか見えず、地平線より上にある時間が短いので、南中(注4)する時刻の前後約30分ほどが観察チャンスとなります。

奥三河での南中時刻は、2月10日は20時55分ごろ、2月20日は20時15分ごろ、3月1日は19時40分ごろ、3月10日は19時00分ごろです。
オリオン座のベテルギウスの25分後で、おおいぬ座のシリウスの25分前です。南中時刻は毎日約4分早くなりますので参考にしてください。

ここ奥三河でのカノープスの南中高度は約2度です。
先に述べたように地平線付近の低空は大気による減光の影響が大きいため、カノープスは全天で2番目に明るい恒星とは思えないほど暗くなり、地平線に沈む夕日と同じように赤っぽく見えます。
当然のことながら地平線付近までスッキリと晴れていないと見ることはできません。条件が揃わないとなかなか見られませんのであきらめずにチャレンジしてください。
 最後に、3月2日(土)奥三河総合センターで星空観察会が開催されます。観察会のテーマは「カノープスを見よう!」。
カノープスが見られる実績スポットである奥三河総合センターでカノープスを捜してみましょう。

見つけたら長生きできるかもしれませんよ。
コラムBy
奥三河☆星空の魅力を伝える会 代表 後藤修一


(注1)星の明るさは等級で表す。1.5等級未満の星を一等星と呼び、数字が一つ小さくなると約2.5倍明るくなる。
(注2)核融合エネルギーにより自ら輝く天体のこと。
(注3)古代中国の都・西安など黄河流域。
(注4)天体が真南に来て地平線から最も高くなる時。
(注5)天球上の緯度、地図と同じように赤道より北は+南は-で表す。

冬の星空散歩~カノープスを見よう!~

KEYWORD
#カノープス ##南極老人星 #一等星 #奥三河総合センター #星空観察会