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奥三河星空コラム

ウィルタネン彗星

ウィルタネン彗星とくじら座

今年は1月の皆既月食や夏の火星大接近がありましたが、12月も注目の天体が有ります。
ひとつ目は21時頃、秋の四辺形のペガスス座とオリオン座の間に有るクジラ座が南中します。

ギリシャ神話に登場するアンドロメダ姫を襲ったクジラの様に大きな恐ろしい怪物です。

心臓に当たる場所にラテン語で 「不思議な」 を意味するミラ (Mira) という赤い星があります。

何故こんな名前なのかと言うと、明るさが2.0等と10.1等の間を約332日の周期で収縮膨張する脈動変光星と言う星で、今年は12月中頃に一番明るくなります。

なかなか見る機会の少ない星ですので探して見ると面白いですよ。


そして今年最後の天文ショーは、肉眼で見える彗星です!

この彗星は、1948年アメリカの天文学者カール・ワータネンによって発見されました。

太陽に最も近づいて地球軌道の付近、遠くて木星の軌道付近を5.44年で回ってます。

核の大きさは約1.2kmの小さな彗星です。
2011年に彗星探査機ロゼッタが着陸する計画がありましたが、
ロケット爆発事故で計画は別の彗星へと変更されました。
事故がなければ、この彗星のことがもっとよく解っていたかもしれませんね。

ウィルタネン彗星(46P/Wirtanen)が12月16日に地球から約1170万kmの距離まで接近します。
地球に近い金星が最接近したときには4200万kmなので、かなり「近い」です。
さて見える場所は、クジラ座のミラの位置を探しておくと見つけ易くなります。

12月6日頃はミラの下側10度位に、12月11日頃にはミラと、おうし座のアルデバランの真ん中位に、最接近の時の12月16日はアルデバランと昴の間を通るとても見つけ易い場所にあります。

その後12月23日には、ぎょしゃ座のカペラの間近に見えます。
では、彗星はどんな星でしょう?


彗星はその姿から「ほうき星」とも呼ばれ、英語ではcomet(コメット)です。
本体は、氷と岩石質および有機質の塵を含み「汚れた雪玉」に喩えられます。
標準的な直径は1 - 10km程度で、これは丘から山1つ分ほどに相当します。
この質量では重力が足りないため、球型では無く不規則な形をしています。
彗星が太陽に近づくと、表面が蒸発し始め全体をガスが覆うようになります。
これが「コマ」(髪という意味)と呼ばれ、私たちが彗星として観察できる形になり、さらに近づくと放射圧と太陽風によりダストテイルという白っぽい尾が形成され、イオン化されたガスで構成されるイオンテイルという青っぽい尾の二つに分かれます。
今回は12月中は3~5等と明るいので暗い空では、肉眼でも青白いボンヤリした物が、双眼鏡など使うと、この2本の尾が見れる可能性があります。
今年最後の天体ショーの彗星とふたご座流星群に冬の輝く星々
ロマンチックな思い出になること間違い無しです。

コラムby
奥三河☆星空の魅力を伝える会
準星空案内人 大矢 浩一
KEYWORD
#彗星 #ウィルタネン彗星 #くじら座 #2018年冬の天体