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奥三河星空コラム

そうだ奥三河に行こう!夏の星座「りゅう座」のお話

星のソムリエ横幕です。
今年は辰年、龍の年ですね。龍といえば、巨大で神秘的な伝説の生き物を思い浮かべます。日本や中国の「りゅう」と、ヨーロッパの「ドラゴン」は元々別の存在でしたが、長い歴史のうちにそのイメージが融合し、似たように描かれるようになりました。このような龍は、神話や民話だけでなく、星座にも登場します。星座の名前は「りゅう座(DRACOドラコ)」と呼ばれ、夏の夜、北の空にその姿を見ることができます。
りゅう座を探そう!

りゅう座を見つけるには、まず北の空にある「北斗七星」と「北極星」を探しましょう。北斗七星のひしゃくの先端の星から北極星に向かう途中に、りゅう座の尻尾の星「ギャウサル」があります。星座早見盤を使うと、おおぐま座の尻尾とうしかい座の頭の上、ケフェウス座の脇を通るようにして、りゅう座の体が星々で描かれていることがわかります。頭を形作る星は台形状に配置され、その位置はまるでヘルクレス座が足で押さえつけているように見えるのです。
頭の先には龍が狙う宝石のように、こと座の一等星ベガが青白く輝いています。
りゅう座にまつわる星と天文現象

α(アルファ)星 トゥバン(ツバン) 4等星
今から5000年ほど前、紀元前2800年頃に戻ると、天の北を示す北極星はこぐま座のポラリスではなく、りゅう座のトゥバンでした。そのころの北極星がりゅう座にあったのは、地球の歳差運動によるもので、長い時を経て天の北はこぐま座のポラリスに移りました。かつて北極星だったりゅう座のトゥバンは、今ではその役目を終え、こぐま座のポラリスがその座を引き継いでいます。それでも、トゥバンは夜空でその輝きを放ち続けているのです。

β(ベータ)星 ラスタバン / γ(ガンマ)星 エルタニン
この2つは「蛇の頭」という意味の名を持つ星です。

λ(ラムダ)星 ギャウサル
尻尾にある星です。
NGC6543 キャッツアイ星雲
キャッツアイ星雲はりゅう座にある惑星状星雲で、1786年にウィリアム・ハーシェルによって発見されました。現在知られている中で最も構造が複雑な星雲の一つと言われており、その名の通り夜に光る猫の目のような見た目をしています。

2つの流星群
りゅう座に関連する2つの流星群をご紹介します。
まずは1月に見られる三大流星群の1つ、しぶんぎ座流星群です。りゅう座とうしかい座の間あたりを放射点とします。
2つ目は、10月に観測できるりゅう座γ流星群(ジャコビニ流星群)です。この流星群はγ星エルタニン付近を放射点としています。
この時期の夜空に舞う流星たちの美しい光景をお楽しみください。
りゅう座の神話
りゅう座の神話は、ギリシャ神話におけるヘルクレスの「12の冒険」の中に描かれています。ヘルクレスは、古代ギリシャの都市ミュケーナイとティーリンスの王、エウリュステウスに命ぜられ、ヘスペリデスの園に実る黄金のリンゴを探しに旅立ちます。このリンゴは、大神ゼウスとヘラの結婚を祝うために大地の女神ガイアが贈ったものでした。
リンゴの木は、その昔、ゼウスと争ったティターン族の生き残りで、その罰として天球を支えるという重い役目を背負ったアトラスの娘たちであるヘスペリデスと、100の頭を持つドラゴン・ラドンによって守られていました。「わたしが代わりに天球を支える間に黄金のリンゴを取ってきてくれ」とアトラスに頼むヘルクレス。アトラスは一度天球から解放されると、再び支えることを嫌がり、ヘルクレスをだまして自分がリンゴをエウリュステウス王へ届けようとします。しかし、賢いヘルクレスは策略を用いてアトラスに再び天球を支えさせ、黄金のリンゴを持ち帰ることに成功するのです。

他にも、ヘルクレスが自らラドンを倒し、黄金のリンゴを手に入れたという話もあります。女神ヘラはラドンを夜空に上げ、りゅう座が生まれました。
最後に・・・
りゅう座は暗い星が多いながらも、名のある星々が存在します。ぜひ、美しい星空が広がる奥三河に足を運び、この神秘的な星座を探してみてはいかがでしょうか。きっと星々が語る神話に心奪われることでしょう。

コラムby 奥三河星空案内人 星のソムリエ 横幕浩

参考文献:山田 卓 著 夏の星座博物館
星の名前:ステラナビゲーター12より
KEYWORD
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