遠い銀河のお話し
春は「銀河」の季節です。
銀河といっても夏に見やすい「天の川」のことではありません。(※1)
銀河といっても夏に見やすい「天の川」のことではありません。(※1)
銀河系の直径は約10万光年(光の速さで10万年かかる距離)と言われています。すぐお隣の銀河、大マゼラン雲(南半球に行くと見ることができます)までの距離は約16万光年。さらにお隣の有名なアンドロメダ銀河は約230万光年の距離にあります。春の星座のしし座、おとめ座、かみのけ座あたりには、たくさんの銀河があり、それらは1000万光年から6000万光年の距離にあることがわかっています。このような銀河系の外にある「系外銀河」が2000個以上も集まる大集団を「銀河団」といいます。
たくさんある緑色の楕円ひとつひとつが天体望遠鏡で見ることができる主な銀河(NGC(New General Catalogue)天体)たち
春の星座 おとめ座 から かみのけ座 あたりの密度が濃い
そんな遠いところから来る銀河の光、銀河の姿を見ることができるんだ・・・といっても、それらの遠く暗い銀河を観察するには、天体望遠鏡をもってしても、淡いシミ、ふわっとしたまゆのようにしか見えません。デジタルカメラの力を借りて、淡い光を蓄積することでネットや図鑑で見るような渦を巻いた美しい銀河の姿を見ることができるのです。
系外銀河の代表格 渦巻銀河の円盤を正面から見たもの
つぐ高原天文台で天体観察会をしていると、「この天文台の天体望遠鏡でどこまで遠くが見えますか?」という質問を受けます。系外銀河を見ることができれば、およそ1000万光年より遠い距離を見ていることになります。今から1000万年前にその銀河を出た光が、今、地球に届いて見えているのです。向こうの銀河に「人類のような者」がいて、こっちを向いて今、地球を見ているかもしれません!そんな想像をしながら望遠鏡をのぞいていると心がわくわくしませんか?
渦巻銀河の円盤を横から見たもの
2019年度奥三河星空写真コンテスト(天体写真の部)応募作品
そんなはるか彼方の銀河の観察に、ぜひ奥三河へお越しください。つぐ高原天文台は、今は冬季閉館中ですが、春、4月から開館します。夜長、宇宙の距離をテーマに奥の深い話をしながら、銀河や星々を観察してみましょう!
つぐ高原グリーンパーク 星空案内人による星空観察会開催スケジュール(2024)>>
さて、私もつぐ高原天文台の天体望遠鏡でどこまで遠くが見えるかチャレンジしています。
まずは、目標1億光年。
宇宙望遠鏡で観測された今までで最も遠い銀河は135億光年(※2)です!
コラムby つぐ高原天文台 台長 星のソムリエ® 平野宗弘
(※1)わたしたちの地球が太陽を回る太陽系は、「銀河系」という渦巻銀河の中にあります。夏の「天の川」は内側から見た銀河系の姿なのです。ですから銀河系のことを「天の川銀河」と呼ぶこともあります。銀河系のなかには、太陽と同じように自分で輝く恒星が、約2000億個あるといわれ、銀河系と同じような恒星の集団=銀河は、この宇宙のわれわれが見渡せる範囲に、約2000億個あるとも約2兆個あるとも言われています。だんだん気が遠くなるような話です。
(※2)135億光年かなたの最遠方銀河の候補を発見 国立天文台 アルマ望遠鏡 2022.04.07
国立天文台NAOJ公式サイト「135億光年かなたの最遠方銀河の候補を発見」詳細ページ>>
(※?)銀河までの距離はどう測るのか?って? その話はとても奥が深くややこしい話なので、またのお話しで!