そうだ奥三河に行こう!秋の星座めぐり ~神秘の水が満ちる夜~
奥三河星空案内人横幕です。今回は神話を交えながら、水にまつわる秋の星座のご紹介をいたします。
「海の始まるしるし」が沈むころ
秋が深まる11月。日が暮れる頃になると、南西の地平に夏の星座「いて座」が沈んでいきます。このいて座のσ星(星座の中で2番目に明るい星)ヌンキは、古代メソポタミアのシュメール語で「海の始まるしるし」という意味をもつと言われています。確かな伝承はありませんが、この星の後に、みずがめ座・うお座・みなみのうお座といった、海にまつわる秋の星座たちが続いて昇ってくることから、この名で呼ばれているようです。
上半身がやぎ、下半身が魚の不思議な星座 やぎ座
海の始まるしるし・ヌンキを宿すいて座の後に昇ってくるのは「やぎ座」です。
その名前からは水と関係ないように思われますが、やぎ座の星座絵を見てみるとびっくり!下半身が魚なのです。
その名前からは水と関係ないように思われますが、やぎ座の星座絵を見てみるとびっくり!下半身が魚なのです。
この不思議な姿の答えはギリシャ神話にあります。昔々、オリンポスの神々が川のほとりで宴会をしているところへ、恐ろしい怪物テュポンがあらわれました。驚いた神々たちは動物や魚に姿を変えて一目散に逃げだします。宴会に参加していた陽気な牧神パーンも逃げ出そうとしますが、あまりにも慌てていたために、上半身がやぎ、下半身が魚のヘンテコな姿に変身してしまいました。パーンのおかしな様子に神々は大ウケ!この姿を残すために星座にしたそうです。夜空に浮かぶやぎ座を眺めると、大きな口が笑っているようにも見えますよ。
やぎ座は過去にもコラムで紹介しているので、よろしければご覧ください。
やぎ座は過去にもコラムで紹介しているので、よろしければご覧ください。
神々の給仕をする美少年 みずがめ座
やぎ座の東側には「みずがめ座」があります。大きく広がった暗い星で形作られるみずがめ座は、見つけることがとても難しい星座です。まずは奥三河のように夜空が暗い場所へ行き、「秋の四辺形」として知られるぺガスス座を見つけましょう。
天馬ぺガススの首下の辺りを探すと、三ツ矢マークのように並ぶ星があります。この星からやぎ座の上に光る星や、秋の一等星フォーマルハウトまで続く星をつないでいくと、みずがめ座の姿が見えてきます。
みずがめ座は美少年が抱えた大きなカメから、とうとうと水があふれだす様子の星座絵が描かれます。この美少年はエーゲ海にあるトロイヤという国の王子ガニメデスと言われています。ガニメデスはその美しさからワシに化けた大神ゼウスにさらわれて、神々の宴会で不老不死の酒ネクタルを注ぐ給仕の役目を与えられたそうです。
みずがめ座からあふれる水は、みなみのうお座の口に流れていきます。みなみのうお座のお話は前回のコラムをご覧くださいね。
みずがめ座からあふれる水は、みなみのうお座の口に流れていきます。みなみのうお座のお話は前回のコラムをご覧くださいね。
美の女神とその息子が変身した姿 うお座
みずがめ座とぺガスス座の間には「うお座」があります。誕生月の星座としても知られるうお座ですが、実は一番明るい星でも4等星。星座の形も横に大きく広がっている為、みずがめ座と同じく見つけることが難しい星座です。星座早見盤や天体アプリなどをうまく活用しながら、暗い夜空で見つけてみましょう。
尾をリボンでつないだ2匹の魚の星座絵で描かれるうお座は、やぎ座のパーンと同じく、怪物テュポンから逃げ出すために魚に変身した愛の女神アフロディーテとその息子エロスの姿だと言われています。
最後に
天の川やみずがめ座からあふれた水が夜空いっぱいに満ちる秋。たくさんの星が見える奥三河で、神話の世界を感じてみてくださいね。
コラムby 奥三河星空案内人 横幕浩
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イラスト出典:かわいいフリー素材集いらすとや公式サイト(外部リンク)>>
コラムby 奥三河星空案内人 横幕浩
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イラスト出典:かわいいフリー素材集いらすとや公式サイト(外部リンク)>>