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奥三河星空コラム

そうだ奥三河へ行こう!春の星座うしかい座のお話

星空案内人、横幕です。
暖かくなり、星空観察がしやすい季節となりましたね。
今回は春の星座の中から、うしかい座のお話をさせていただきます。
★うしかい座と春の大曲線★

春の星座 うしかい座

うしかい座を見つけるための目印は、おおぐま座の北斗七星です。北斗七星は、ひしゃくのような形をしていますね。このひしゃくの、柄のカーブの曲線角度をそのままに視点を移していくと、東の空に明るい星が見つかります。黄色っぽい色のアルクトゥールス。うしかい座の一等星です。アルクトゥールスから北の方向に、ネクタイの様な形で並んでいるのがうしかい座です。特徴的なので、この形を覚えたら、実際の夜空でも見つけやすいかもしれません。夜空に浮かぶ大きなネクタイを探してみましょう。

春の大曲線

ここからは豆知識!アルクトゥールスから東へ視点を移すと、白く輝く星にぶつかります。これは、おとめ座のスピカです。更にその先には、暗い星4つの星が台形を作っています。これはからす座です。北斗七星の柄の部分から、アルクトゥールス、スピカ、からす座まで結ぶ線を、春の大曲線と言います。春の星座や一等星を見つけるのに役立つので、是非覚えてくださいね。
☆うしかい座の主な星☆

うしかい座の星

α星アルクトゥールス(Arcturus)
α星とは、星座の主たる星で、通常はその星座で最も明るい星のことを指します。
うしかい座を見つけるための目印にもなる1等星のアルクトゥールスは、この星座のα星。
古代ギリシャ語で「熊の番人」という意味があります。うしかい座の近くにはおおぐま座とこぐま座があるので、昔の人はこの親子熊の番をしていると考えたのかもしれません。
アルクトゥールスには和名もあり「麦星」といいます。これは日本で、麦が黄金に色づき刈り入れが始まる頃に昇ることからついた名前です。私はこの名前と星の色から、アルクトゥールスを見ているとビールが飲みたくなります。
ε星プルケリマ(Pulcherrima)
うしかい座の中で、アルクトゥールスの次に明るいε星。固有名詞はイザル(Izar)、これはアラビア語で腰紐という意味があります。この星はとても美しい2重星のため、19世紀の天文学者フリードリッヒ・フォン・シュトルーベが、ラテン語で「最も美しい者」という意味の「プルケリマ」という別名を付けました。
奥三河で開かれる春の星空観察会に参加される方は、星空案内人に望遠鏡で見せてもらってくださいね。主星のオレンジと伴星の青がとても綺麗ですよ。
☆うしかい座の神話☆

うしかい座

うしかい座は古い星座ですが、「牛飼い」が神話の登場人物の誰なのかは所説あり、明確にはわかっていません。
今回はそうであろうと言われている人物を2人、紹介いたします。
その①狩人アルカスの姿
こぐま座の神話の主役アルカス。
美しい森の妖精カリストが大神ゼウスに見初められ、授かった子供がアルカスです。
逞しい狩人に育ったアルカスは、ある時森の中で大きな熊を狩ろうと矢をつがえます。
しかしこの大熊は、ゼウスの正妻で大変嫉妬深い女神ヘラに姿を変えられた母カリストでした。
このままでは息子が母を殺してしまうと慌てたゼウスは、アルカスを小熊の姿に変え、大熊のカリストと共に天の星座にしたのでした。
うしかい座は、子熊に姿を変える前の狩人アルカスだと言われています。
おおぐま座とこぐま座の詳しい話はこちらのコラムを参考にしてくださいね。
その②巨人アトラス
うしかい座のモデル候補2人目は、ギリシャ神話に出てくるティタン神族の巨人アトラスです。
ティタン神族は、ゼウスを中心とするオリンポスの神々よりも先に世界を支配していた、クロノスとその一族です。
ある時、ティタン神族とゼウスは、世界の支配権を争う大戦争ティタノマキアを起こします。
アトラスもこの戦いへ参加しますが、結果はゼウスの勝利。罰として、西の果てで天と地が接触をしないように天空を担ぐ事となりました。
それから幾年月が過ぎた頃。勇者ペルセウスが、アトラスの近くを通りかかりました。
ペルセウスは「その目を見たものを石に変えてしまう」と恐れられる怪物メデューサを討ち取ったところでした。
アトラスは、自らの身体を石に変えれば、天空を担ぐ苦痛から逃れられると考え、ペルセウスに「私を石に変えてほしい」と頼みます。
哀れに思ったペルセウスは、メデューサの首を見せ、アトラスを石に変えてやりました。
アフリカ大陸にあるアトラス山脈は石となったアトラスの姿で、この山脈が見下ろす海はアトランティックオーシャン(Atlantic Ocean)、大西洋と呼ばれるようになったと言われています。
うしかい座の星座線を見てみると、天空を担ぐ巨人の様に見えるかもしれません。
☆最後に☆

春

うしかい座には、春の大曲線、春の大三角、春のダイヤモンドといった、春を代表する星の並びに無くてはならない、アルクトゥールスがあります。
この美しい輝きを春の夜桜と共に楽しんではいかがでしょうか。
奥三河では標高差で桜の咲く時期が違います。この季節ならではの美しい夜をお楽しみください。


コラムby奥三河星空案内人 横幕浩

☆参考文献 春の星座博物館
☆イラスト出典 すてられこーどWEBサイトより
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