1. HOME >
  2. コラム一覧 >
  3. あの星なあに? 第1話「1等星ってなあに?」

奥三河星空コラム

あの星なあに? 第1話「1等星ってなあに?」

1等星は、都会の夜空でもちゃんと見える星。
6等星は、奥三河のような山奥でよく晴れた月のない夜に、肉眼でぎりぎり見える星。

1等より明るい恒星は、全天で21個。
そのうち日本(奥三河)からみえるのは、16個。

明るい順に…

(冬)シリウス(おおいぬ座α星) -1.5等
(冬)カノープス(りゅうこつ座α星) -0.7等
(冬)カペラ(ぎょしゃ座α星) -0.5等
   アルクトゥルス(うしかい座α星) -0.3等
   ベガ(こと座α星) -0.0等
(冬)リゲル(オリオン座β星) 0.1等
(冬)プロキオン(こいぬ座α星) 0.4等
(冬)ベテルギウス(オリオン座α星) 0.4等 (変光星)
   アルタイル(わし座α星) 0.8等
(冬)アルデバラン(おうし座α星) 0.8等
   スピカ(おとめ座α星) 1.0等
   アンタレス(さそり座α星) 1.0等 (変光星)
(冬)ポルックス(ふたご座β星) 1.1等
   フォーマルハウト(みなみのうお座α星) 1.2等
   デネブ(はくちょう座α星) 1.3等
   レグルス(しし座α星) 1.3等
(注1)

 これらの星を、1等星というわけです。意外と少ないでしょうか?

 星の明るさをランク付けしたのはギリシャ時代の天文学者ヒッパルコス(紀元前2世紀)です。特に明るく見える星を1等星とし、肉眼で見られる最も暗い星を6等星として全天の星を6段階に分けて一覧表にしました。
 その後、イギリスのジョン・ハーシェル(19世紀)が星の明るさを科学的に測定して、1等星の平均の明るさは6等星の平均の明るさの約100倍であることを発見しました。
 1等星が6等星の100倍明るいのだから、等級差5等級の明るさの「比」が100倍。つまり、1等級の差は、100の5乗根=2.5118861…の明るさの比になります(注2)。
2等星より約2.5倍明るい星が1等星。1等星より約2.5倍明るい星を0等星。さらに約2.5倍明るい星をマイナス1等星。と明るくなるほど、数字は小さくなります。

 基準になる明るさは、こと座のベガを0等星として決められてきました。今は、これを基に科学的に厳密に定められています。

ベガ

 では、肉眼で見える星は全天でおよそいくつあるかというと、全部で約8600個。天球の北半分には、半分の約4300個といったところでしょうか?

1等星= 21個
2等星= 67個
3等星= 190個
4等星= 710個
5等星= 2000個
6等星= 5600個

 都会の夜空では3等星まで何とか見えるでしょうか?(150個くらい)郊外で4等星がみえればすばらしい(500個くらい)。

奥三河でも6等星まで見える条件のよい日はなかなかなく、月のない夜空で5等星が見えれば、満天の星空と言えるでしょう(1500個くらい)。

冬の1等星

 冬は1等星の多い夜空です。8個の1等星を同時に見ることができます。オリオン座のベテルギウスを中心に6角形に並ぶ星々。いつのころからか冬のダイヤモンドと呼ばれています。冬の太平洋側は晴れる日が多く、きらめく1等星を見るには絶好の季節です。まだまだ寒い日が続きます。万全の防寒対策をして夜空を眺めてみてはいかがでしょうか?

冬のダイヤモンドとカノープス

奥三河星空案内人3号 平野宗弘


上記リンク先を基に、四捨五入して1等になる星を並べました。
(変光星は最も明るい時期か、平均的な時期でのおよその明るさです)

注2)1等星=(6等星)x 2.512 x 2.512 x 2.512 x 2.512 x 2.512 ≒ 100倍 x(6等星)
6等星の明るさに2.512を5回かけると1等星の明るさになります。
電卓で計算してみてください。
天文学での数式で表すと、
見かけの等級m1とm2の二つの星の明るさ(フラックス)f1とf2は、
m1-m2=-(5/2)log(f1/f2) ポグソンの式
で表されます。(シリーズ現代の天文学「人類の住む宇宙(日本評論社)」P.81)
KEYWORD
#1等星 #等級 #冬のダイヤモンド #カノープス #カペラ #アルデバラン #リゲル #ベテルギウス #シリウス #プロキオン #ポルックス #ベガ