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奥三河星空コラム

レナード彗星~彗星の名前と符号・日夜観測し続ける機関~

ようやくコロナウイルスの感染も落ち着き、外に出られる様になって来ましたね。
ここで更に天文の明るい話題をしましょう。
★レナード( Leonard )彗星(C/2021 A1)
今年の12月初旬から半ばにかけて肉眼等級になると予測されている彗星が有ります。
その名はレナード( Leonard )彗星C/2021 A1。
太陽最接近前に地球に0.2天文単位(約3000万km)に接近して4等級程に明るく見えるので、彗星ならではの長く伸びる尾が観測出来ると期待されています。
★レナード彗星(C/2021 A1)を見つけよう

レナード彗星

春から夏の星座の中を進んでますので、朝方東の低空に見える事になります。
18日頃からは日没後の南西の「いて座」付近に移動していきます。

レナード彗星

★彗星の名前と符号
彗星についての詳細はコラム「ウィルタネン彗星」を参照して下さい。
今回は、主な彗星の名前と識別番号についてご紹介いたします。

以下の彗星は去年の彗星を一部書き出した物です。

エラスムス彗星 (C/2020 S3)
アトラス彗星 (C/2020 M3)
ハウエル彗星 (88P)
ラッセル-リニア彗星(156P)
ボアッティーニ彗星 (398P/2020 P2)
アトラス彗星 (C/2019 N1)
マックホルツ第2彗星 (141P)
テンペル-スイフト-リニア彗星(11P)
パンスターズ彗星 (C/2017 T2)
ニート彗星 (246P) 13等
パンスターズ彗星 (C/2017 K2) 14等
アトラス彗星 (C/2019 L3)
アトラス-アフリカーノ彗星(C/2019 F1)
ネオワイズ彗星 (C/2020 F3)
ネオワイズ彗星 (C/2020 P1)

彗星の名前の後ろについている()内の文字列を彗星符号といいます。彗星符号とは、国際天文連合(International Astronomical Union)が、新しく発見された彗星や、回帰した周期彗星に順番に付けていくものです。
符号は発見が報告された年、月、発見報告順を元にしてつけられます。
例えば、レナード彗星の場合は(C/2021 A1)と表示されていますね。
「C/」はComet(彗星)を意味します。続く数字は発見が報告された年。続くアルファベットは、発見が報告された時期を示します。1月前半15日までを「A」とし、1月後半16日からが「B」、というように、1年を24に分けて表します。正し、「I」と「J」は数字の1と間違えないように除外、「Z」は使用しないこととなっています。最後の数字はその時期の中での発見順番です。
その為、レナード彗星(C/2021 A1)は、「レナード彗星は2021年1月前半1番目に発見報告された彗星」ということになります。
また、「数字+P」とあらわすものは、軌道がわかっていて200年以内に周回する周期彗星です。最初に発見された周期彗星であるハレー彗星は(1P)となります。
彗星符号を理解したら、上記の彗星名をご覧いただき、情報を読み取ってみてくださいね。

ラブジョイ彗星

写真はラブジョイ彗星(C/2013 R1)

彗星や小惑星の名前は、発見した人が自由に名前を付けられます。
多くは発見した人の名前が付けられます。
また申請があった順に3つまで名前が付けられます。
例えば、世紀の大彗星の池谷・関彗星 (C/1965 S1)は、同日の15分差で、池谷さんと関さんが台風通過直後に、この彗星を発見しました。
★日夜観測し続ける機関
彗星の名前を見ていくと、同じ名前が見られます。
同じ名前の多くが自動観測装置や天文衛星による物です。
どんな物があるかと言うと、

■ATLAS(アトラス)
ハワイ大学によって開発され、NASAによって資金提供され、約160km離れたハレアカラ島とマウナロア島にある2つの望遠鏡で構成されていて、地球の近くにある物体が太陽系を移動するずっと前に見つけるシステムです。

同じシステムにPan-STARRS(パンスターズ)があります。
大きい望遠鏡でATLASよりも暗い物体を検出できます。
しかし、見つけるのが効率的ではないのが弱点です。

■LINEAR(リニア)
アメリカ空軍とNASAがマサチューセッツ工科大学 (MIT) に設立したリンカーン研究所による地球近傍小惑星サーベイでレーダー網を使った自動観測システムです。

■NEOWISE(ネオワイズ)
2009年12月14日に打ち上げられたNASAの赤外線天文衛星。口径40cmの赤外線望遠鏡を備え、3 - 25μmの波長で全天を10か月以上観測する。

■NEAT(ニート)
NASAがパロマー天文台でおこなっている地球近傍小惑星サーベイNear-Earth Asteroid Tracking (NEAT)

これらは小惑星衝突早期警告システムとして、太陽系内の移動する物を見つけ地球に近づく物が無いか日夜観測をして、地球の危機を監視する機関です。
その為、彗星も多く発見するので同じ名前が付けられるのです。

地球の危機を早期に発見して被害を最小限に抑えようとしている機関が有ることを感謝しながら、肉眼で見える彗星が現れた時は星空イベントを楽しみましょう。

カタリナ彗星

写真はカタリナ彗星(C/2013US10)


コラムby奥三河星空案内人
大矢 浩一
KEYWORD
#彗星 #レナード彗星 #彗星符号 #comet