年末、クリスマスが近くなると聞こえて来る「望遠鏡が欲しい」。子どもだけじゃなくて、大人も、ボーナスが出たりすると…「望遠鏡買おうかな」。
　ところが、望遠鏡といっても多種多様で、初心者にはどれを買えばいいのかわからないというのが現実です。そういう私も、大人になって初めて買った1台目はかなり迷いました。

望遠鏡は、安い買い物ではありません。まずは、現物を見て、触れて、できれば操作してみて購入することをお勧めします。そんなことができるのは、望遠鏡を売っているお店です。そして、お店の人、時には、そこに来ているお客さんに、いろいろ聞きながら、触らせてもらうことです。それから、各地で開かれている観察会や観望会で並んでいる望遠鏡を覗かせてもらうことです。その望遠鏡を操作しているガイドさんに質問すると、いろいろ教えてくれます。そうやってお店の人や望遠鏡を持っている・使っている人と話をすると、自分が欲しいと思っているものがわかってきます。

望遠鏡を何のために買うのか、その目的によっても買うべき望遠鏡がかわります。月や惑星を見るためなのか、銀河や星雲・星団を見るためなのか、天体写真を撮影するためなのか、などなど。望遠鏡も、その他の道具と同じように、目的に合った機材が必要になります。よく聞かれるのは「必要最低限のものはどの程度のものですか」ということ。でも、実は、これはその目的によってその必要最低限が変わりますので、一概に答えられないというのが答えです。

はっきり言ってピンからキリまでというのが答えです。自分が何のために望遠鏡を買うのかで、どんなものを買うといいのかが決まります。少なくとも１万円以下のものでお勧めできるものはありません。最低数万円のものを購入することをお勧めします。望遠鏡で星の写真を撮ろうと思うと、その数倍から数十倍程度の価格になります。自分がそのために支払うことができる大まかな価格（予算）を想定して機材を選ぶとよいと思います。

決して安くない望遠鏡。実は一生ものなのです。現に私が３０年以上前に買った望遠鏡は、まだ使うことができます。特に、数十年前の日本製の望遠鏡は、「さすが日本の技術者」と言えるぐらい、つくりがしっかりしたものが多く、まだまだ現役で使えるのです。現在販売されているものの多くは同じように、購入後何十年も使うことができるものがほとんどです。数万円で高いなあと思いますが、一生使えると思えば…、そんなに高い買い物ではないと思えませんか？

望遠鏡を買ったあと、うまく使い切れずにそのまま押し入れに…という話をよく聞きます。望遠鏡の難しいところは、月や惑星等の見たい目標を望遠鏡の視野の中に入れることなのです。見たいものが見られずに、「こんなん使えないや！」と放り出してしまうこともよくあるようです。せっかく高いお金を出して買う望遠鏡ですから、しっかりその操作を覚えて、星を見る技術も磨いてほしいと思います。取扱説明書をよく読んで、その使い方をしっかり身に付けましょう。そして、どこにどんな星・天体があるのか天文雑誌や天文に関する書籍で調べましょう。
　それでもどうしてもうまくいかないときは、観察会や観望会に望遠鏡を持っていって、そこで星空案内をしているガイドさんに望遠鏡の使い方やどこに何が見えるのか教えてもらいましょう。そうすれば、その望遠鏡でいろんな星が見られて、望遠鏡を買ったときの思いが実を結ぶようにできますよ。

サイトの性格上、一部のメーカーや小売店の宣伝をここに書く訳にいかないのが悲しいところです。私としては、その目的・予算によってお勧めする望遠鏡があるのですが、それは…、是非、奥三河の星空を見に来たときに、星空ガイドに聞いてください。納得のいく内容で紹介します。

望遠鏡を買う最大の理由は、「望遠鏡で星を見たい」という気持ちを満たすためです。その気持ちを満たすためには、その目的とする星をきちんと望遠鏡でとらえ、それを見ることができるようにならなければなりません。そのためには、基本的な操作方法を覚えたり、どんな星がどこにあるか調べたりするなど、ある一定の苦労が必要なのです。
　そんな「望遠鏡で星を見たい」という気持ちを満たすことに、少しだけでも手助けができたらと、私たち奥三河☆星空の魅力を伝える会は考えています。
　何を買うか悩んだり、どう使ったらいいのかわからなかったりしたときには、ぜひご相談下さい。皆さんの「星を見たい」という気持ちを、一緒に満たしていけるよう、手助けしたいと思います。

コラムby奥三河☆星空の魅力を伝える会　星空案内人　萩野祐司