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奥三河星空コラム

かに座のプレセぺ星団

冬の明るい星々が天頂で賑やかになると、東の空は明るい星が少なく落ち着いた春の星座達が昇ってきます。
春の星座「かに座」の見つけ方

しし座、かに座

ふたご座の1等星ポルックスから東に目を移すと、?(クエスチョンマーク)の左右反転した様な、しし座の頭部分が昇ってきます。
しし座の内一番明るい1等星のレグルスとふたご座のポルックスの間にかに座があるのですが、明るい星はなく都会の明るい空では見る事が出来ません。
暗い星空では、ぼんやりとした部分と数個の暗めの星が肉眼で見つけられます。
黄道十二星座の一つとして、よく知られていますが見つけにくい星座です。
かに座のプレセぺ星団

かに座

甲羅の部分にあたる4つの星の真ん中に小さな星の集まりがあり、これはプレセペ星団と呼ばれ春の代表的な散開星団で、双眼鏡ならおよそ40個ほどの星がこの場所に集められたように見えます。
プレセペとはラテン語で「かいば桶」という意味で、中心の4つの星を桶に、北と南の星をロバに見立てて、そう呼ばれました。
英語では、星団の星をハチに見立てて「Beehive」(蜂の巣)とも呼ばれます。
プレセぺ星団の伝説
プレセペは古代から知られていた数少ない星団の一つで各国には、さまざまな伝説が残されています。
天気と関連づけたものが多く、すっきりと晴れた夜でないと見えないことから、この星々が見えないと、嵐になる前兆と考えられていました。
1609年にガリレオが初めて望遠鏡で観測して、美しい星々の集まりである事を発見するまで、何か雲のような天体としてヌピルム(雲)と呼ばれていたり、ギリシアの天文学者はネフェリオン(小さい雲)やアトラス(小さい霧)と呼ばれていました。
中国では「積尸気(死体を積み重ねたところから出る気)」という、気味の悪い名前で呼ばれ、ギリシアの哲学者たちの間では、人間の霊魂が天上からおりてきたり、または天上界へ去って行く出入り口だと信じられていました。
星団とは
星団とは星の集まりの事ですが、球状星団と散開星団の2種類があります。
球状星団は、恒星が数十万~数百万個が球状に密に集まってできたものです。
肉眼や双眼鏡などの倍率の低い物で見ると霞んだ星の様ですが、望遠鏡などの倍率の高い物で見ると、打ち上げ花火の様に丸く中心部が星が密集しているのが分かります。
球状星団は、銀河系円盤部の外側に広く分布していて約150個発見されていますが、年齢は非常に古く100億年前後で銀河誕生後の非常に早い段階でできたものと考えられています。

オメガ星団a

(写真は全天球中一番大きく見えるケンタウルス座のオメガ球状星団です)

散開星団は、恒星が数十~数百個の集まりで差し渡し5~20光年の領域に集まっていて、球状星団に比べると星の密度が低く年齢も10億年以下と若い星の集まりです。
銀河円盤部に集中して分布し、銀河系内に約1000個が知られています。

プレセペ星団は散開星団で、地球までの距離は約580光年で年齢は約7億歳太陽は46億歳ですから若い星々の集まりだと言えます。
星団中10等級よりも明るい星が80個以上で中には太陽のおよそ70倍の明るさの物も有ります。
もしも太陽がプレセペの距離にあったら地球からは10.9等星の明るさにしか見えないので、思った以上に明るい星々の集団ですね。
プレセペ星団の固有運動は、おうし座のヒアデス星団とほぼ等しく平行であることから、互いに約450光年以上の距離はありますが、共通の場所で誕生したと考えられています。
おわりに
かに座は明るい星はないけれど、春の先頭星座として、夕暮れ直ぐに東の空から上がって来ます。
冬も終わり暖かい季節がやって来る事を感じられる星座ですので、空の暗い奥三河に来られた時は、ぜひ探してみて下さい。

コラムby奥三河星空案内人
大矢 浩一
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