設楽町段戸山には冷厳なブナの森が残されている。300年を越す大木は天を仰ぐように立ち、訪れた人たちに優しさと感動を与えてくれている。
しかし、森の故郷であるこの森も時代の変遷と共に少しずつ姿を消してきた。
「何か出来ないかなぁ」と思いつつ、平成10年10月段戸ブナの種から苗木を育て次世代に残す試みを始めてみた。
そんな話を聞いた小学校の先生は、子供たちに託そうと子供たちによる森づくりが始まった。
平成16年5月、第１回目の植林が行われ、植えられたブナの木は「心」と名づけられ、子供たち所有の木となった。
木を植えた子は「みんなを優しくつつむように私の気持ちを未来の人に伝えたい。だって、人を信じるって大切なことだから」と言ってくれた。
「早く大きくなぁれ」と願う子供たちの純粋な気持ちには驚かされてしまう。
子供たちの手によって育てられた大切な森が次世代を越えて、千年続くように願いを込めこの森は『千年の森』と名づけられた。
～環境省自然公園指導員 加藤博俊～

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